ナト・カリ食プロジェクトについて

適塩・血圧対策推進協会が推進する「ナト・カリ食プロジェクト」は、全国・全世界へのナト・カリ食の普及を目指します。

普及・啓発=ナト・カリ加工食品の輪

プロジェクトは、ナト・カリ調味料を使った減塩加工食品(ナト・カリ加工食品)を製造する企業を募り、製造の輪を広げます。食品産業が連携して減塩の普及・定着基盤を確立し、手軽に減塩できる環境を提供して、減塩への社会的機運を醸成することを目標とします。

製造技術、販路拡大支援

プロジェクトは、企業のナト・カリ加工食品の製造技術と販路拡大を支援します。

ブラント管理=規格適応マーク

プロジェクトは、ナト・カリ加工食品の規格を提案し、認証制度を創設し、認証した製品に規格適応マークを発行します。

実証研究

プロジェクトは、ナトリウムとカリウムの摂取が生活習慣病に及ぼす影響を実証する疫学的研究を行います。

行政・団体との提携

プロジェクトは、行政や大学・公的研究機関、公益法人などと提携し、さまざまなサービスを提供します。

情報サービス・商品販売

プロジェクトは、ナト・カリ食や健康・疫学情報など、さまざまな情報サービスの提供を行うとともに、商品の販売も行います。

期待できる波及効果

ナト・カリ食が普及すれば、国民の健康寿命を伸ばしたり、医療費を削減したりさまざまな波及効果が期待できます。国内に留まらず、日本と食習慣の近いアジアを中心に新たな減塩食市場が生まれ、ナト・カリ減塩加工食品が産業振興の起爆剤となる可能性を秘めています。

健康寿命延伸の鍵

ナト・カリ食が普及すれば、高血圧者の減少、脳卒中発症・死亡の減少による平均寿命・健康寿命の延伸、脳卒中による要介護者の減少などが期待できます。

医療費削減

国民の総医療費は40兆円に上り、医療費削減は喫緊の課題です。ナト・カリ食の普及により、高血圧症を予防し、医療費削減に寄与することが期待できます。

減塩市場の創造、産業振興の起爆剤

薄味ではない減塩加工食品の登場で、これまで減塩に消極的だった消費者を減塩食品市場に取り込み、大きな市場を創造することが期待できます。さらに、食習慣が似通ったアジア圏への市場拡大の可能性もあり、産業振興の起爆剤となります。

ナト・カリ食プロジェクトについてもっと詳しく

適塩・血圧対策推進協会は、「ナト・カリ食プロジェクト」を推進します。ナト・カリ食の開発と普及・販売推進を通じて、食品産業が連携して減塩の普及・定着基盤を確立し、手軽に減塩できる環境を提供して、減塩への社会的機運を醸成することを目標とします。そのため、食品産業業界に広く協賛企業を募り、ナト・カリ加工食品の開発・製造の輪を広げます。家庭の調味料から、塩乾品や漬物などの加工食品、さらには惣菜、レトルト食品、インスタント食品、菓子など、あらゆる加工食品群でナト・カリ加工食品を開発・製造し、ナト・カリ食だけで食生活が成立する環境を創生し、減塩を強力に推進することが究極の目標です。

従来の減塩アプローチは、少品種で高い減塩を目指していますが、極端な減塩食品は薄味で食味が大きく変わってしまい、減塩に関心が薄い人々には魅力ある加工食品とは言えず、普及に限界がありました。ナト・カリ食プロジェクトは、慣れ親しんだ味を変えずに減塩できる加工食品の製造の輪を広げることで、減塩食品の普及に努めます。

岩手県矢巾町での取り組み

本協会は岩手県矢巾町の内閣府・地域創生事業と協働し、ナト・カリ食の開発・普及に取り組んでいます。町民の高血圧症・脳卒中予防と地域産業振興の一挙両得を目指すこの取り組みは、内閣府の「地方創生先行型事業」の指定を受け、補助金を獲得しています。

岩手県をはじめとした北東北地域の主要産業は農畜産物・水産物などの生産であり、地場の食材が豊富で食品加工産業のさらなる振興の可能性を秘めています。一方で、食塩を多用した水産加工食品などを多く摂取する食習慣が受け継がれ、岩手県は脳卒中死亡率が全国上位の常連であり、住民の高血圧予防は喫緊の課題です。

減塩を意識した加工食品は、まだ、開発の途についたばかりですが、岩手大学が先進的に取り組んでいるカリウム高含有食品素材で食塩の一部を置換した水産加工食品の製造方法を拡大すれば、食品加工業の振興に結びつきます。

盛岡市の浅沼醤油株式会社ではナト・カリ食の理念に合わせ、おいしくて減塩が可能な「醤油」(いわて健民)の開発を進めており、近くお目見えする予定です。

美味しいナト・カリ加工食品

全国の高血圧症患者は2,500万人に及び、健康的に生活するには高齢者の50%以上に積極的な減塩が求められます。食生活の改善のため減塩食品のニーズは大きい状況にありますが、市場には極端に味付けの薄い減塩食品が多いようです。また、栄養士などの指導による調理レシピに従っても、極端な薄味となりがちです。そのため、減塩を必要とする人たちは、薄味で我慢するか、減塩を諦めるかの二者択一を迫られているのが現状です。

したがって、薄味ではない、美味しい減塩加工食品があれば、大きな需要を生み出すことができる可能性があります。

矢巾町地域創生事業で試作したナト・カリ食10品目の試食では、80%以上の人が美味しいと回答しています。岩手県内で減塩食に取り組む方々にご協力いただき、パン、練り製品、塩蔵品、漬物、肉料理を試作しましたが、調味料をナト・カリ調味料(ナト・カリ塩を用いて製造した味噌、醤油、塩麹など)に変えただけで、従来と同様のレシピで調理しました。

ナト・カリ調味料を使えば、薄味ではない美味しい減塩食を作ることができ、美味しい減塩加工食品を開発・製造すれば、大きな需要を生み出せる可能性があります。その結果、国民生活で減塩を推し進め、国民の高血圧・脳卒中予防に寄与することができます。

ナト・カリ食は通常の減塩食品と比較した場合、ミネラル濃度が通常食品とあまり変わらないことから腐敗防止やミネラル濃度低下に伴う技術的障壁は多くありませんが、製造には一定のノウ・ハウが必要です。適塩・血圧対策推進協会ではナト・カリ食の製造を目指して技術支援を希望する企業に対して支援を行います。

また、協会加盟企業を通じ販路を提供し広報を行います。

「美味しくて減塩効果のある食品」の普及を目指す立場から、協会が定める規格を充たしている加工食品を認証する制度を創設し、認証した食品やメニューに規格適応マークを発行します。認証手順については 「認証」のページ をご覧ください。

規格適応マークにより、協賛企業の製造するナト・カリ食のブランドを管理し、商品価値の向上と、競合製品との差別化を目指します。

ナト・カリ食プロジェクトは、ナトリウムとカリウムの摂取量が生活習慣病に及ぼす影響を実証する疫学的研究を行います。

自治体や大学、公的研究機関などと連携し、地域や施設でのナト・カリ食の供給によって実際に減塩が可能であること、血圧が低下すること、究極的には脳卒中や要介護を予防可能であることの証明を目指します。

ナト・カリ食で減塩が可能であることを疫学的に証明するためには、まず、ナト・カリ食を日常食とする集団を作り、それらの人々と他の普段通りに食生活をしている人々の集団の健康状態を継続的に調査し、比較検討します。

平均的な日本人は、日常生活で摂取する塩分の多くを加工食品から摂取しているため、「ナト・カリ食を日常食」とできる環境を作るには、惣菜やレトルト食品、インスタント食品、パン類、菓子類など網羅的なナト・カリ加工食品の開発が是非必要です。

岩手県矢巾町の地域創生事業では、すでに開発したナト・カリ調味料(味噌・醤油)を用いて、岩手県産農水産物を原料にして二次・高次加工のナト・カリ加工食品の製造販売に取り組んでいますが、岩手県産品だけでは日常に摂取する食品すべてを網羅することはできません。そのため、全国の食品関連企業の協力を得て、地域の食卓にナト・カリ加工食品を提供できる環境作りを目指しています。

ナト・カリ食が減塩に有効であることは論理的には証明されていますが、理論上だけでなく疫学的も実証されれば、国民の健康維持を考慮した食事全体を変える起爆剤となり、生活習慣病予防に大きく寄与する可能性があります。

高血圧対策の一環として減塩は大きな効果が期待できます。住民・従業員の減塩環境整備を目指す市町村、健康保険組合、企業と共に減塩しやすい環境の提供を行っていきます。減塩に関心を持つ食品製造業者、流通業者、食品を提供するレストランなどでの減塩食品の提供を容易にします。さらに大学などで行う、減塩加工食品の製造技術や減塩効果に関する研究に対するナト・カリ食の提供などの支援を行います。

カリウムは生体にとって重要な栄養素ですが、あまり関心を持たれたことはありませんでした。カリウムはほぼ全ての食品に含まれていますが、日本人の摂取量は世界保健機構(WHO)の定める基準と比較して大幅に少ないのが現状です。協会では世界の研究成果を元にカリウムが健康ミネラルであること、カリウム摂取を増やすことで多くの疾患が予防可能であることを伝え、広く啓発する資料を提供します。また、今後諸外国で行われる種々の研究成果を分かりやすく解説して、カリウム摂取量を増やすための基本戦略を紹介します。

ナト・カリ食が普及すれば、高血圧症患者の減少、脳卒中発症・死亡の減少による平均寿命・健康寿命の延伸、脳卒中による要介護者の減少などが期待できます。

塩分が多い日本食

日本食では米や麦などの穀物、野菜、豆類、果物、魚介類や海藻といった水産物、鳥類などの肉が食材として使われます。特に水産物と大豆加工食品の種類は多様で、しかも脂質含量が少なく、食塩含量が多いといわれています。その結果、食塩摂取量が欧米よりも比較的高い状況にあります。また、畜肉類や乳製品などの摂取量が欧米に比較して少ないため、カリウム摂取量が低いことも特徴です。

食塩摂取過多は高血圧症や脳卒中の危険因子

食塩の摂取過多は、高血圧症や脳卒中に対する大きな危険因子です。我が国では1960年代には国民平均で1日20g以上の食塩を摂取していましたが、現在は成人男性で1日11g程度まで減少しました。その結果、国民の血圧は低下し、健康状態が改善されました。脳卒中死亡率も40年間で80%減少し、我が国の平均寿命の延伸の大きな要因となりました。

しかし、近年は食塩摂取量に減少傾向がほとんど見られません。高血圧症患者は全国に2,500万人と推計され、その治療のためには、65歳以上の高齢者の50%以上に積極的な減塩が求められます。

「健康日本21(第2次)」*では国民の減塩を通じて血圧低下や脳卒中死亡の減少を目指すとしていますが、国民健康栄養調査の結果からみると、減塩を計画通りに達成することはきわめて困難な状況と言わざるをえません。

厚生労働省が策定した日本人の食事摂取基準(2015年版)**ではカリウム摂取量を現状より更に1,500mg増やすべきと指摘していますが、具体策は示されていません。

ナト・カリ食で健康寿命延伸

循環器疾患死亡率の低下などで、我が国の平均寿命は世界一を達成しましたが、健康寿命の観点からは平均寿命ほどに十分な成果を得ていません。背景には、我が国の循環器疾患の大部分は高血圧を背景とした脳卒中であること、脳卒中の軽症化と治療が進歩したことで、脳卒中を発症しても大部分は命を取りとめるようになったことから、長期にわたり要介護や日常生活動作能力(ADL)の低下による生活の質(QOL)の低下に苦しんでいる人の割合が多いことが挙げられます。

健康寿命の延伸のためには、減塩を推進して脳卒中を予防することが鍵です。そのため、食生活での減塩食のニーズはきわめて大きい状況にありますが、市場には極端に味付けの薄い減塩食品が多いのが現状です。また、栄養士などの指導による調理レシピに従っても、極端な薄味となりがちです。そのため、減塩を必要とする人たちは、薄味で我慢するか、減塩を諦めるかの二者択一を迫られ、減塩に取り組むのが容易ではありません。

薄味でなく、美味しいナト・カリ食が市場に流通し、だれでも手軽に手に取ることができるようになれば、減塩実施の障害となっている状況が改善され、我が国の健康寿命延伸に大きく寄与できると期待されます。

国民の総医療費は40兆円に上り、医療費削減は喫緊の課題です。ナト・カリ食の普及により、高血圧症を予防し、医療費削減に寄与することが期待できます。

国民総医療費40兆円

国民の総医療費は40兆円に上ります。日本のGDP(国民総生産)は2015年に約500兆円と推計されていますから、大雑把に言うと、各家庭の総収入の8%が医療費に消えている計算になります。

医療費削減にはさまざまな方法が考えられますが、何より有効なのは「病気を予防する」ことです。

疫学研究によれば、日本人の食塩摂取量を現状より2 g減少させることで国民の平均血圧は2.0mmHg低下することが見込まれています。これに合わせカリウム摂取量を1.5g増やすことで、高血圧症患者数は10%減少し、脳卒中の発症・死亡数も10%減少することが予測されます。

医療介護分野で7,800億円を削減

2gの塩分摂取量の減少による、直接の医療費効果は1,880億円(高血圧関連医療費の10%、平成22年)と見積もられます。

さらに、高血圧症とそれが原因になって起こる循環器疾患(高血圧症も含む)全体の医療費の10%として5,800億円の減少が期待できます。さらに、介護費用に目を向ければ、脳卒中が原因で要介護者になった人の介護費が全体に占める割合は25%に上ります。このうち、10%の発症が防ぐことができれば、介護費用は年額2,000億円を削減できます。つまり、医療費、介護費を合せると年間7,800億円が節約できると見込まれます。

我が国の高血圧症患者は2,500万人といわれ、その大部分の人は十分な減塩ができていません。しかし、ナト・カリ食が普及し、手軽に減塩することができるようになれば、年間医療・介護費7,800億円の削減は、実現不可能な皮算用ではありません。

薄味ではない減塩加工食品の登場で、これまで減塩に消極的だった消費者を減塩食品市場に取り込み、大きな市場を創造することが期待できます。また、ナトリウム摂取量が多くカリウム摂取量が少ないのは東アジアの国々に共通しています。そのため、東アジア諸国でも日本と同様の対策効果が得られる可能性は極めて高いことが予想されます。ナト・カリ食プロジェクトの活動を通じて、ナト・カリ食の有効性が証明されれば、健康維持に貢献できる食品として海外への輸出も期待され、産業振興の起爆剤となります。

*健康日本21

「21世紀における国民健康づくり運動(健康日本21)」

健康を実現することは、元来、個人の健康観に基づき、一人一人が主体的に取り組む課題であるが、個人による健康の実現には、こうした個人の力と併せて、社会全体としても、個人の主体的な健康づくりを支援していくことが不可欠である。

そこで、「21世紀における国民健康づくり運動(健康日本21)」では、健康寿命の延伸等を実現するために、2010年度を目途とした具体的な目標等を提示すること等により、健康に関連する全ての関係機関・団体等を始めとして、国民が一体となった健康づくり運動を総合的かつ効果的に推進し、国民各層の自由な意思決定に基づく健康づくりに関する意識の向上及び取組を促そうとするものである。
http://www.kenkounippon21.gr.jp/kenkounippon21/about/intro/index_menu1.html より

健康日本21(第2次)(2013年~)

健康増進法に基づき策定された「国民の健康の増進の総合的な推進を図るための基本的な方針(平成15年厚生労働省告示第195号)」は、国民の健康の増進の推進に関する基本的な方向や国民の健康の増進の目標に関する事項等を定めたものであり、本方針が全部改正(いわゆる「健康日本21(第2次)」)された。(平成24年7月10日厚生労働省告示430号)

**2015年食事摂取基準

概要

日本人の食事摂取基準は、健康増進法(平成 14 年法律第 103 号)第 30 条の2に基づき厚生労働大臣が定めるものとされ、国民の健康の保持・増進を図る上で摂取することが望ましいエネルギー及び栄養素の量の基準を示すものである。
http://www.mhlw.go.jp/file/04-Houdouhappyou-10904750-Kenkoukyoku-Gantaisakukenkouzoushinka/0000041955.pdf より

会員募集について

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