設立趣意書

「ナト・カリ食」とは、食塩(NaCl)の一部を塩化カリウム(KCl)に置換した「ナト・カリ塩」を調味料として使用した食品です。減塩効果がありますが、味は一般の塩と同じです。ナト・カリ食の普及により、慣れ親しんだ食生活を変更せずに、手軽にナトリウムとカリウムの摂取バランスを適切に保つ(減ナトリウムと増カリウム)、ならびに食塩使用量の低減を実現できる食環境を整備することができます。

我が国の食塩摂取量は諸外国に比較して多く、高血圧を主因とする循環器病の死亡率が高い状況が持続しています。そのため、より一層の減塩が望まれますが、国民健康栄養調査や疫学研究結果によれば、現状では国民の食塩摂取量は10gにとどまっています(平成26年調査結果)。

国民の食塩摂取量が減少しない要因の一つに、減塩食品を広く活用できる仕組みが不足しているという現状があります。高度に減塩した食品はあっても、薄味で味が大きく変わってしまうためにその普及が難しいことや、減塩食品はいまだに限られた食品群でしか製造されていません。減塩食品を広く活用するには、あらゆる食品分野で、親しんできた味を変えることなく美味しくて減塩効果のある減塩食品を製造して普及させることが急務です。

一方、高血圧の原因の一つは食塩の摂取過多にありますが、カリウムにはナトリウムと拮抗して血圧を低下させる作用があることは、一般にはあまり知られていません。カリウム摂取増加の必要性が指摘されていますが、カリウム摂取を増やすための積極的な戦略は示されていません。

私たちはこれまで、内閣府・岩手県矢巾町地域創生事業に参画し、賛同する地場産業と共同で実験的に食品開発を行い、塩味の強度・質と加工適性(作業性)が十分保たれることを実証してきました。さらに、多くの食品を開発するためには、全国的に数多くの企業の参加が求められます。また、この運動に参加する企業に、減ナトリウム・増カリウム食品の製造ノウハウを提供したり、ナト・カリ食のブランド管理や販売ルートを確保したり、ナト・カリ食品の意義やおいしさを広く普及啓発していく仕組みを構築する必要があります。また、開発した食品の減塩効果や血圧の改善効果の検証も求められます。

こうした課題に取り組むため、一般社団法人適塩・血圧対策推進協会を設立いたします。幅広い企業・団体のご参加により、食品中のナトリウムとカリウムの比に着目した「ナト・カリ食」を幅広い食品に普及させ、誰でも減塩を実践できる食環境の実現を通して、我が国の適塩・減塩対策を効果的に推進することが、本協会の目的です。

設立趣旨にご賛同いただき、日本の減塩環境の整備に向けた取り組みにご参画していただければ幸甚に存じます。

会員募集について

協会の活動内容にご興味または賛同していただけるかたは、入会についての詳細をご確認ください。

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