コラム
後味さっぱり――ナト・カリ食のおいしさの秘密

一般社団法人適塩・血圧対策推進協会
代表理事 岡山明

 私たちは、高血圧症が原因の脳梗塞や心筋梗塞などの生活習慣病を予防するため、調味料のナトリウムの一部をカリウムに置換したナト・カリ食の普及に取組んでいます。

 近年、食品スーパーでもカリウム置換の減塩加工食品が販売されるようになってきましたが、その多くはナトリウムの30%以上をカリウムに置換し、減塩効果が大きいことを強調しているようです。

 一方、私たちが開発しているナト・カリ食品は、置換率を20%と低めにしています。血圧を上げる原因となるナトリウムの含有量を少なくすることと、血圧を下げる作用が確認されているカリウムの効果とを総合的に考慮すれば、20%の置換で十分な健康効果が得られると判断しているからです。

 置換率を低く抑える最大の理由は、減塩食品の美味しさを大切にしていることです。私たちは、いくら減塩効果が大きくても、美味しくなければ普及させることは難しいと考えています。

 問題意識は、減塩食品の開発に取り組む人々にも共有されているようで、最近では市販の減塩食品に「美味しさそのまま」というキャッチフレーズが付けられているのをよく目にします。

 20%置換のナト・カリ食は違います。「そのまま」どころか、よりおいしく感じられることが、試食会で確認されているのです。

 食べ比べるとよく分かりますが、20%カリウム置換にとどめたナト・カリ塩を使って製造した魚の干物や塩辛、つゆ、焼き肉のたれなどの加工食品は、食べたときの塩辛さは、普通の塩を使った加工食品と差がありません。つまり、「美味しさそのまま」です。ところが、ここからが違います。ナト・カリ塩を使った加工食品は、後味で塩辛さが急激に引いていきます。「後味さっぱり」なのです。高塩分食品特有の塩味が口の中に残ることが少なく、食材本来の味を味わうことができます。

 試食会では、「塩辛があまり好きでない」という人から、「ナト・カリ塩でつくった塩辛はおいしく食べられた」という評価をいただきました。岩手県ではナト・カリ食はお年寄りより若い人に好評でした。この事実は発見したばかりですが、今後、ナト・カリ食を普及するための大きな支えとなるでしょう。

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