コラム
カリウムをもっと食べるには?

人間総合科学大学 健康栄養学科
教授 奥田 奈賀子

 「健康のため、野菜や果物を食べましょう!」

 耳にタコができるほど、聞かされてきたスローガンですね。
 ところで、このスローガンの半分くらいは、「カリウムを食べましょう!」の意味です。カリウムには血圧を下げたり、高血圧を予防したりする作用があるからです。野菜や果物はカリウムを多く含みます。だから、野菜や果物を食べると健康維持に効果があるのです。

 では、肉や魚にはカリウムは含まれないのでしょうか? そんなことはありません!
 図をご覧ください。カリウムは動物の細胞の中にも豊富に存在します。私たちは肉や魚を食べますが、食べているのは「筋肉」という細胞の集まりです。そのため肉や魚には、野菜や果物に匹敵するほどのカリウムが含まれています。大豆製品である豆腐、納豆にもカリウムは豊富に含まれています。

 野菜や果物をあまり食べないだけでなく、肉や魚を食べない食事でもカリウム摂取量は少なくなっていきます。めん類や丼ものなど炭水化物に偏った食事では、カリウム不足になりがちです。そういう食事が多い方は、まずは肉、魚、豆腐、野菜など、おかずのある食事を増やしましょう。そして、野菜は1日1品多く食べるようにしましょう。

 肉や魚では、カリウムは脂身よりも赤味に多く含まれています。サシが入ったお肉は、カロリーたっぷりで、カリウムは少ないのです。体重やウェストが気になる方は、脂身の少ないところを選ぶことで、カロリー控えめでカリウム多めのダイエットと高血圧予防の双方に効果ある食事にすることができます。

 飲物では、ミネラルウォーターや砂糖入りの清涼飲料水、スポーツ飲料はカリウムをほとんど含みません。100%の野菜ジュースや果汁はカリウムを多く含みます。母牛が子牛に与える栄養食品である牛乳もカリウムを豊富に含みます。コーヒーはコーヒー豆の抽出液、お茶は茶葉の抽出液なのでカリウムを含みます。カリウムは通常ほとんど味を感じませんが、食べ物や飲み物の選び方で摂取量を増やすことができるのです。

カリウムをもっと食べるには?
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