コラム
塩味から見た減塩(ナト・カリ)即席めんの可能性について
~Less guilty な即席めんを~

人間総合科学大学 健康栄養学科
 奥田 奈賀子


 即席めんは、日本国内で年間約57億食が販売され国民ひとりあたりの消費量は45.4食/年と計算されている1。湯で戻した油揚げ麺を塩味の強いスープとともに食べる即席めんは、みそ汁と米飯を基本とする日本食で育った日本人に歓迎された。全国の男女3,107名を対象として行われた調査2では、およそ8割が「ひと月に1日以上即席めんを食べる」、36.9%が「週に1日以上即席めんを食べる」回答するなど食生活に浸透している。

 一方で、即席めん1食に含まれる食塩は平均4.8gと多く1、即席めんからの食塩摂取量は国民全体の食塩摂取量に占める寄与は約5%と推定される3。単一の食品アイテムの寄与としては、しょうゆに次ぐ大きさである。このことは即席めんユーザーにも認識され、「塩分について不安を感じる食品はどれですか」という質問に対して、「即席めんの塩分が気になる」と約半数の人が解答し、この割合は「市販の弁当」や「インスタントスープ」など他の高塩分と考えられる食品を超えた4
 消費者の塩分に対する強い不安がありながら、即席めん1食に含まれる食塩はここ20年以上ほぼ変わらない。これは即席めんの「美味しさ」が塩味に支えられていること、食塩使用量を抑えて美味しさをキープすることが製造上難しいことを示している。

 即席めんでナト・カリ調味料を使用すれば、1.2gの減塩とカリウム600mg(バナナ2本分)を追加摂取できる。カリウムは、穀類や油脂にはほとんど含まれず、野菜、肉、魚、牛乳などの食品に豊富に含まれる。即席めんを食べる状況としては、「手作りするのが面倒な時」「すぐに食べたい時」「外に出るのが面倒な時」「疲れているとき」と回答する者が多く2、即席めんを習慣的に食べる者は、カリウムの不足傾向が強いことが考えられる。

 以上より、ナト・カリ即席めんは、「塩分が気になり(Guilty, 罪悪感有り)」「野菜・果物不足が気になる」即席めんユーザーにとって、「減塩になって」「美味しくて」「不足しているカリウムを補給できる」、「Less guilty, 罪悪感が少ない」即席めんになり得ると考える。




注釈
1.一般社団法人日本即席食品工業協会, インスタントラーメンデータ
https://www.instantramen.or.jp/data/
2.一般社団法人日本即席食品工業協会, 「即席めん」の摂取・購入状況および意識調査 インターネット調査報告書, 2019年1月,
https://www.instantramen.or.jp/wp-content/themes/ramen_navi/assets/files/intake_purchase_situation/chosa_h30.pdf
3. Okuda N, Okayama A, et al.: Food sources of dietary sodium in the Japanese adult population: the international study of macro-/micronutrients and blood pressure (INTERMAP). European journal of nutrition, 2017; 56:1269-1280
4.一般社団法人日本即席食品工業協会,『即席めん』の消費者心理調査 インターネット調査報告書, 2019年1月,
https://www.instantramen.or.jp/wp-content/themes/ramen_navi/assets/files/consumer_psychology_survey/file_2020.pdf

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