コラム
効果的な減塩戦略と国民の意識

一般社団法人適塩・血圧対策推進協会
 代表理事 岡山 明


 近年、高血圧リスクを下げるための戦略として、単純な減塩戦略よりもナトリウムをカリウムに置き換える戦略の方が重要であるとされ、減塩と増カリウムを組み合わせた戦略が注目されるようになった。それに伴い、研究分野ではナトカリ比に着目した研究が多く発表されるようになり、単純な減塩よりナトカリ比の低下を目指すなどの考え方が研究者の間では広く普及するようになっている。

 しかし我が国では薄味による減塩やだしによる減塩が重視されており、ナトリウムをカリウムへ置換する減塩の考え方はまだまだ普及していない。また、カリウムに対する認識は「体に良くはない」という漠然としたイメージが強く、これは従来から腎臓病とカリウムの関係が強く強調されていた影響が考えられる。3年ほど前にインターネットで英語と日本語の検索結果を比べたところ、日本語ではカリウムの利益より害の方が強調される傾向が見られた。そこで今回、英語と日本語で検索キーワードを固定して行ってみた。以下に結果を示す。

◆日本語の検索結果(2021年4月7日時点 google)

デメリット メリット
食塩摂取 971万 836万
カリウム摂取 284万 640万

※オッズ比(注1):2.61

◆英語の検索結果

disadvantages advantages
salt intake 5,480万 1,190万
potassium intake 4,930万 776万

※オッズ比(注1):2.93

 驚くことに、過去に検索したときと比較して日本語でもカリウムのメリットが多く報告されており、大きな変化が見られることがわかった。オッズ比(注1)をとると、日本語検索の方がやや低いがほとんど同じ結果となった。日本でもカリウムに対する良いイメージが浸透しはじめてきた、と考えてよいのではないだろうか。

 *(注1)オッズ比:ある事象の起こりやすさを2つの群で比較して示す指標。

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