コラム
社員食堂利用者の減塩意識

京都府立大学大学院 生命環境科学研究科
 教授 奥田 奈賀子


 生活習慣病の多くは、年齢を重ねるにつれて罹患する人が多くなります。その最たるものは高血圧です。20歳代では高血圧の人はおよそ1割ですが、70歳を超えると男女ともになんと、7割を超える人が高血圧です(令和元年国民健康・栄養調査)。この結果から、勤労世代を過ごすうちに大半の人が高血圧になっていくことがわかります。勤労世代における高血圧への意識は、どのようなものなのでしょうか。

 ここで、第57回日本循環器病予防学会学術集会で発表した某メーカー従業員を対象に行ったアンケート調査の結果をご紹介します。調査を実施したメーカーは40~50歳代が多くを占め、さらに男性従業員が約7割を占めています。健診結果では高血圧有病率が年々上昇し、医療費の最も多くを占めるのが循環器系疾患であるという状況です。今回は特に、高血圧の有所見者が多い男性の回答を中心に紹介します。

 「高血圧と言われたことがある」のは31%で、健診の有所見率と同等であり、健診結果をきちんと認識していることが伺えます。「減塩に関心がある」のは38%で、「減塩を実行している」のは12%でした。一方で「食卓で醤油・塩をよく使う」人が20%、「塩辛いものが好き」な人も31%と、「減塩は大事、でも塩辛いものも好き」という意向も示されました。さらに、社員食堂の男性利用者では、各年代で8割以上が「ちょうどよい味付け」と評価しながら、40歳以上における約6割が「食堂で減塩すべき」と回答しました。40代以降はまさに高血圧を指摘される人が増える年代ですが、多忙な働き盛り世代で「6割の減塩支持率」が示されたのは、「高血圧は積極的に予防すべき」という考えが浸透していることによると考えられます。

 「高血圧は予防すべき」でも「塩辛いものが好き」という思いに応えられるのがナト・カリ調味料です。薄味ではない利点を活かし、社員食堂の調理にナト・カリ調味料を使う、ナト・カリ調味料を使いながら少しずつ薄味にすることで、高血圧にならないサラリーマンの増加に貢献できると考えています。

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