コラム
ナト・カリ食による給食介入研究

一般社団法人 適塩・血圧対策推進協会
 代表理事 岡山 明


 減塩は日本人にとって長年の課題です。近年、単純な減塩では効果が少なく、食塩(ナトリウム)と拮抗作用のあるカリウムを組み合わせる減塩かつ増カリウムの手法が、疾病予防に効果を上げる可能性があると指摘されてきています。最新の研究成果では25%カリウム置換塩を用いた結果、脳卒中の発症が減少したことが明らかになりました。

 私たちはJ-milkからの補助を受けて、企業の給食に介入し、ナト・カリ食と牛乳の総合効果で血圧を下げることを目標に準備を進めています。ナト・カリ食の組成はほとんどがナト・カリ調味料で構成されています。このナト・カリ調味料は、塩、しょうゆ、だしつゆ、ポン酢などの種類を揃えており、市販できる体制が整備できています。今後は食品企業の協力を得て、食塩寄与度の高い調味料(らーめんつゆ、白だしなど)のナト・カリ食を新規開発して対応する予定です。研究が成功した暁には、広く多くの企業にナト・カリ食の採用を働きかけようと検討しています。

 こうした研究を実施する際に重要なことは、研究の場となる会社やその従業員の理解です。学問的には確立しているのですが、実際に給食を変えるにはカリウムが体に良い栄養素であることを知らないことが問題となります。例えば、当該事業所の従業員を対象とした調査で得られた結果を見てみましょう(図1参照)。野菜や果物を多くとると血圧が下がる、と回答した人は84%と高い率でした。一方、カリウム摂取が血圧にどのように影響するかの問には、「上げる、下げる、わからない」と回答した人がそれぞれほぼ3分の1で、カリウムに対して「マイナスの意識を持つ人」と「知らない人」が少なくとも3分の2を占めていました。この調査より、給食による介入とともにカリウムの健康効果を啓発することの重要性が再確認されました。したがって、国民全体への働きかけの際にも、カリウム摂取の重要性とその効果について広く啓発することが重要であると考えられるでしょう。

 図1.アンケート結果

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